専攻医の声

NICUを目指した理由や
職場の雰囲気、
そして目指す医師像まで
リアルな声を聞きました。

  • 中村奈見 医師 32歳
  • 愛知医科大学医学部(2017年3月卒)

医学部を卒業後、小児科医の資格を取得。
現在はNICUにてサブスペシャリティ領域の資格取得のため専攻医として勤務しています。
自分の性格を一言で言うと、おおらかで細かいことは気にしないタイプ。プライベートではインドア派なのですが、最近バレエ鑑賞に出かける機会が増え、美しい舞台を見て癒されています。
5年前に結婚した夫と二人暮らし。

QUESTION01

NICUを目指した理由は?

未来ある子どもの人生に関われる診療科だから

幼い頃、体が弱かった私は、いつも優しく診察してくれる医師に憧れ、自分も小児科医になりたいと、医学部に進学しました。4年生の小児科病棟見学の際に、たまたま案内されたNICUで、熱心に小さな命に向き合う医師の姿に感銘を受け、それまでは考えてもいなかったNICUで働きたいという思いが芽生えたのです。
新生児の命を救えば、そこから何十年と人生が続きます。赤ちゃんにとってもご家族にとっても幸せですよね。未来のある子どもの人生に関われるなんてすごいことだ!と思ったのが、NICUの医師を目指した理由です。

QUESTION02

NICUの魅力、やりがいは?

赤ちゃんの全身管理ができ、命を救える

NICUは内科、外科の線引きがなく、全身管理を行う珍しい診療科です。赤ちゃんの体すべてを診られる、言い換えれば命そのものを救うことができるのは医師として大きなやりがいです。
NICU入院時には保育器の中にいた小さな赤ちゃんが、歩いたりしゃべったりできるほど成長した様子をこの目で見る機会があります。すくすくと育った姿が見られるのは大きなモチベーションになっており「あのときがんばってよかった」と、ますますNICUの仕事を好きになっていくのを感じます。

QUESTION03

サブスペシャリティ領域研修に
愛知医科大学病院を選んだ理由は?

協力し合う風土、新しいものを取り入れる柔軟性に惹かれて

何より全員が対等に意見を言える環境であることが一番です。当科では医師や看護師はもちろん、薬剤師、理学療法士、臨床心理士、学生といった多職種のスタッフがチーム体制で治療にあたります。誰もが自分の考えを発言でき、全員で治療方針を決めます。そこに遠慮や忖度は一切ありません。その風土が素晴らしいと思い、ここで学び、働きたいと強く思いました。市中病院のNICUでも研修したのですが、その経験からも自分が求める知識や技術を得られるのは愛知医科大学病院のNICUだと感じ、ここを選びました。

また、海外留学経験のある医師が複数おり、最新の海外の治療法や取り組みに触れる機会が多く、学ぶ環境として理想的だと感じます。当NICUは、日本ではまだ珍しい「ファミリーセンタードケア」といって赤ちゃんの家族と共に行う治療を早くから取り入れており、お母さんやお父さんが回診に同席することもあります。このように新しい知識や治療法をどんどん取り入れて試そうという柔軟な姿勢も魅力です。

QUESTION04

専攻医として学んだこと、
これから極めたいことは?

多くの臨床経験で技術を習得。
最終年は素早く正しい決断を目指す

専攻医としての研修も残り1年です。早い段階から実際に患者である赤ちゃんの管理や治療を任されたので、2年間で多くの経験を積むことができ、NICUの医師として自信もついてきました。例えば500gしかない赤ちゃんに点滴をする、口に管を通す、といった処置は小児科医ではごく一部の人しかできないNICUの医師特有の技術ですが、日々の臨床経験で着実に身に付いたと実感しています。今は週に一度、外来診療も担当しており、主にNICUを退院した患者さんを診る役割も担っています。研修最後の1年は自分で考え、素早く正しい決断をくだす力を付けるため、さらに経験を積みたいと思っています。

QUESTION05

指導医の教育方法は?

見守りながらチャレンジの場を与えてくれる

指導医は「私がついているから、自由にやってみなさい」と、何にでも挑戦させてくれます。経験を積んで早く成長したいと思っていた私にはありがたく、理想の学びの場です。ただし、治療を行う際には「根拠は?」と必ず問われます。治療の根拠をきちんと説明し、周りのスタッフ全員に納得してもらうために自分で調べたり、考えたりする癖がつきました。誰かに頼るのではなく、主体的に動くことで責任感も強くなったと思います。
わからないとき、悩んだときには指導医はもちろん、同僚医師や周りのスタッフが過去の症例や論文を参考に詳しくアドバイスしてくれることも心強く感じています。

QUESTION06

職場の雰囲気は?

助け合い、協力し合う空気に満ちている

NICUでの研修が好きな理由のひとつは職場の雰囲気です。誰もが赤ちゃんにも職員にも優しく接し、「楽しく働こう」という心意気を持っているのを感じます。医師も実習生も同等に意見を言う機会があり、問題が発生したときにはみんなで解決方法を模索します。もちろん、常に命と向き合う職場なので緊張感もあります。でも、時に幸せな瞬間も多くあり、それを仲間と共有できることが喜びです。

QUESTION07

ライフワークバランスは?

充実したプライベートはチーム医療の賜物

NICUは勤務が厳しいイメージがあるかもしれませんが、当NICUでは主治医制ではなくチーム医療を採用しているので残業や急な呼び出しがありません。毎日17時に退勤できる体制は肉体的にだけでなく精神的にも余裕が生まれます。土日の当直は月に1回だけなので、週末の予定が立てやすいというメリットも感じていますね。
また、育児支援制度が整っており、実際に出産した先輩医師が利用しているので、今後の自分のライフステージの参考になります。男性女性問わず働きやすく、プライベートを充実させることができる職場だと思います。

QUESTION08

どんな医師になりたい?

大人になるまで支え、伴走できる医師

赤ちゃんの人生は長いです。NICUでの治療や管理ももちろん大変ですが、入院中よりも退院してからの付き合いの方が長くなります。例えばダウン症の赤ちゃんであれば高校生になるまで通院します。さまざまな状態の患者さんを診るにはまだまだ知識が足りないので、もっと勉強し、大人になるまでしっかり伴走できる医師になりたいと思っています。また、赤ちゃんはまだ話せないので、赤ちゃんの気持ちや症状を私たち医師がお母さんやお父さんに説明し、一緒に最善の治療方法を考えていく必要があります。赤ちゃんやご家族の気持ちを汲み取れる医師を目指し、コミュニケーション力も磨いていきたいです。